この前の日曜日、NHK-EDで面白そうな番組があったので留守録しておいた。ギドン・クレーメルというバイオリン奏者がバルト三国の若い弦楽プレーヤーを集めクレメラータ・バルティカとして活動しているものなのだけど、これがすごく新鮮で面白い。
プログラムはマーラーの交響曲やショスタコービッチのバイオリンソナタなどで、ボクはクラシックに詳しくないので全然驚かないが、詳しい人ほど彼らの解釈や編曲や若々しい演奏内容などにびっくりしたりするようだ。詳しくないボクであっても彼らの演奏が、あたかもバディ・リッチ率いるヤングライオンズのビッグバンド演奏のような若々しく新鮮なものであることは分かる。
プログラムは後半、アストル・ピアソラの「ブエノスアイレスの四季」になるのだが、この辺りになると彼らがただの純粋培養のクラシック集団ではないことが伺える。もちろん、それはピアソラの高い音楽性をも意味するのだけど、例えばよく言われるようにピアソラはアルゼンチンタンゴを背景にしてジャズやクラシック(現代音楽)とも融合しているという評価が、このバルティカの演奏でよく理解できる。特にコンサートのアンコール曲として演奏した「Fuga y Mysterio」などは、途中完全なジャズだったりする。こういう場合、スイング感が無ければジャズとは呼びたくないが、そんな心配はまるで必要が無い。これはいったいピアソラの成果なのか、はたまたバルティカへ譜面提供しているアレンジャーの勝利なのか、あるいはヴィヴラフォンソロをプレイするアンドレイ・プシカレフの個人的なものなのか、いったいどうなんだろう?
とはいえ、そんな考えは彼らの音楽を味わうのに全くどうでもいいことではある。でもいいのだなあ、もう一回聴こうっと。