【秘伝その14:もっとマイナーじゃ】

マイナースケールにおいてもメジャー同様のダイトニック・コードと、それぞれのコードが持つ意味(機能)をグルーピング化しようと試みられました。

しかし既に述べたようにマイナーには音階自体が変化した形があって、マイナー本来の重要な要素は5番目の音までの音列であることや、このような和音の機能の捉え方そのものがメジャー上で発展した考えのマイナーへの応用であることなどから、メジャーの時ほどには明解なものとなっていません。

もう一度マイナーの音階を3種類まとめて音名で表記しますと、

A B C D E (F F#) (G G#)

となりますが、これをメジャースケールの時のように3度音程の4和音で表すと一番目から順にこうなります。

 Am7 /AmM7 (A,C,E,G)/(A,C,E.G#) ---トニックマイナー

 Bm7b5/Bm7 (B,D,F,A)/(B,D,F#,A)

 CM7 /CM7#5 (C,E,G,B)/(C,E,G#,B)

 Dm7 /D7 (D,F,A,C)/(D,F#,A,C)

 Em7 /E7 (E,G,B,D)/(E,G#,B,D)

 FM7 /F#m7b5 (F,A,C,E)/(F#,A,C,E)

 G7 /G#dim/G#m7b5 (G,B,D,F)/(G#,B,D,F)/(G#,B,D,F#)

メジャーの時のように、トニックとサブドミナント、ドミナントを抽出してみましょう。

マイナー・キーにおけるトニックはトニック・マイナーと言います。

これは一番最初のコードのAm7/AmM7ですね。メジャーの時と同様に類似の音を持ったものを捜しますと、3番目のCM7と6番目のFM7が上げられます。

トニックマイナーと代理コード   Am7(AmM7),   CM7,FM7

同じ3番目でもCM7#5では構成音が違い過ぎますし、6番目のF#m7b5ではコードの構成音は似ていますが、ルートが半音違うためにこのキー(Am)でのダイトニックというよりは、むしろ他のキーであると考えられやすくなって、トニックマイナーの代理コードとしては使われません。

*しかしこういうメジャーで発展した考えをマイナー上で同じように展開するのは実はちょっと無理があると思っています。でも一応基礎ですからやっときましょうね。