【秘伝その18:リハーモナイズのまとめじゃ】


この辺がリハーモナイズの一番基本的なところなので、もう一度まとめてみますと、

本来の意味 ドミナント トニック
 動
元のコード進行 G7 C ( C6,CM7 )
1. Dm7 G7 C
2. Dm7 Db7 C
3. Abm7 Db7 C
4. Abm7 G7 C

の4種類が可能であること。裏コードである Db7 (G7から見て)を使っただけで、本来の G7 の変化した(オルタード)テンション音を駆使したことになるということ。(これは反対に元のコードがDb7の時にG7を演奏しても同じ効果になります。つまり裏表関係にあるという訳です。)

Abm7はもっとも「遠い」ところにある、ということ、などです。

さて音楽ではさらにもうひとつ「遠い」位置にまで「離れて」も許容されることが多いです。しかしこのことは曲のテンポとかにも密接に関係がありまして、例えばこのサウンドの流れを再び水の流れと考えればお分かりだと思いますが、非常にゆっくり流れているのであれば、そこにあるのは「ヘンである」「おかしい」と思われるものでも、ある程度の流れのスピードがあれば許容されてしまうということです。

具体的に言いますと、「静」から「動」を通り、再び「静」に戻るという意味なのが「トニック」→「ドミナント」→「トニック」なのですが、この「動」部分のダイナミクスをさらに大きくする、あるいは元の進行をさらに変化に富んだものにするという趣旨のものです。これを音楽用語ではドッペルドミナントとかダブルドミナント、X7of X7などと言います。

もう一度元の進行に戻って考えますと、

C G7

だった元の進行を、

Am7 Dm7 G7 C

にしてみた訳ですが、この真中のG7に対するドミナントまで遡って採用しようという試みです。

G7 に対するドミナントは(G,GM7 に解決しようとするドミナントは)D7です。(Gというキーの5番目のコード)

そこで、

Tonic より遠いDominant Dominant Tonic

として

C D7 G7 C

を考えてみます。これに最初に復習した4通りをそれぞれ2ヶ所のドミナントに当てはめて考えると、

Tonic D7 部分 G7 部分 Tonic
C Am7 D7 Dm7 G7 C
C Am7 Ab7 Dm7 Db7 C
C Ebm7 Ab7 Abm7 Db7 C
C Ebm7 D7 Abm7 G7 C


というように、4×4=16通りあることが分かります。

ところがこの「より遠いドミナント」には、もうひとつ違う部分に着目して引っ張り出してくることが出来ます。それはドミナントの先行2m7に対してのドミナントを使うことです。つまり今度はDm7に対するドミナントとしてA7を考えることができます。

C A7 G7 C

この場合も上記のようにA7部分に4通りの進行が可能ですので、こちらも4×4=16通りが生まれます。

Tonic A7 部分 G7 部分 Tonic
C Em7 A7 Dm7 G7 C
C Em7 Eb7 Dm7 Db7 C
C Bbm7 Eb7 Abm7 Db7 C
C Bbm7 A7 Abm7 G7 C


つまり、ごく単純な「動」から「静」へと動くモーション、すなわち「ドミナント」から「トニック」へと流れる場合の、一番許される「遠い」部分までを考え、しかも一番細かく、あるいは複雑な方へと考えてみた場合は、上記の合計の32通りの進行が生まれる訳ですね。