*** テキトー日記 (99/11/03-2) ***

その夜

昼間サンバパレードをやった後で家に帰り今晩のスタンダードライブの選曲と譜面の準備をした。ボクが勝手に選曲して、それを3冊の譜面にして1冊は自分用、残りの2冊はそれぞれピアノとベースに渡すことになっている。

どうしても昼間のラテン気分が強く、しっとりとした秋の夜長のジャズ気分で選曲できないのでほとんど先月のままになってしまった。ま、先月の気分も似たようなものだから良しとしよう。

早めの夕ご飯を済ませ8時前にはライブを演る店に到着。いつも通り8時半から1回目のステージを9時半まで。ここは全然問題が無かった。祝日の夜のせいなのか、お客さんの数が少ないということ以外は。1ステージ目の終わり頃にトランペッターのタケちゃんが来た。やー珍しいねえ。

ではセカンドステージではタケちゃんにも大いに演ってもらおうということになって、でも一応ゲストという扱いにしようと思って、まずは1曲目の「センチメンタル・オーバー・ユー」をミディアムテンポにしてボクのワンホーンで始めた。ズート・シムズがこんな風に演っていたから。曲も終わりかけで最後のリタルダンドしたカデンツァ部分でのこと。突然

サックスがすっ飛んだ!

目の前1メートルくらい前方の板張りの床に、物凄い音とともにボクの愛器SELMAR Mk6が横たわっている。ボクはその場で凍りついてしまった。な、なに?ど、どしたの?

ストラップの先のフック部分が綺麗に無くなっていた!金属疲労?いや、プラスティック疲労なの?(だからプラスティックはイヤだって言ったんだよなあ。このストラップを買った時。でももう全部プラスティック製になっちゃってるとかで仕方なしにこれにしたのだった。)

エンディングだけだったのでとりあえずピアノが終わらせてくれたみたいだけど自分では覚えていない。すかさずMCでゲストのタケちゃんを紹介し、トランペット・カルテットとピアノトリオで以後のステージをお願いして客前での最悪の事態というのは避けられた。

メロディアスなタケちゃんのラッパタケちゃんの素晴らしいトランペットの音色を背中で聞きながらサックスを調べるが、わーー、めり込んでいるし、キーが動かない。ダメだ。ヤケクソになってブランデーをぐいぐいとやりながら葉巻をふかすただの客となる。しかし今宵のタケちゃんはまた素晴らしい。良く歌っているんだなあ。

曲間のMCだけ入れてどうにかセカンドステージを終える。終わってからの方がショックが大きくなる。家に帰ってからのほうがもっとショックが大きい。じつはこの日記は翌日書いているのだが、今日のほうがもっとショックが大きい。ショックというのは大事にしていた楽器なのにという意味でもあるし、修理代も決して小さくないだろうということ。今日は朝イチでリペアさんに電話をして佐川急便でサックスを送った。バランスもいいし音抜けや鳴りも気に入ってた楽器だけに、なんだかしょんぼりである。いったいいくらぐらい修理代が掛かるのか、それも気になるなあ。

翌日、仕事の取引先メーカーから来週展示会があるので来社してほしいという電話があったんだけど「ボク今落ち込んだ気分なので行かない」と言ってしまった。公私混同ならぬ仕事趣味混同なんだけど、仕方ないよねえ。そういう気分なんだから。

つづく

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