*** テキトー日記 (99/11/09) ***

フラビオ君

フラビオが久しぶりにボクのところに遊びに来た。彼は日系ブラジル人の奥さんと一緒に日本に働きにきたブラジル人なんだけど、彼自身は日系ではない。父親がポルトガル人、母親はブラジル人だそうだ。日本は日系人かその家族に限って長期の労働入国を認めているので、こうして彼が日本にいられるのも彼の奥さんが日系人であるお陰という訳だ。

フラビオとはもう結構長い付き合いになる。最初はジムに通い始めたブラジル人のグループの一人というだけだったのだけど、ブラジル人と聞けば「サンバ演ったことある?」と聞いて回ってたボクなのだが、たいていは演ったことない人ばかりなのね。そりゃあーた、日本人が海外に行って、そこでいきなり「空手できるか?日本舞踊踊れるか?」と聞かれるようなものですからね。で、たいていは「やったことない」が答えだったのだけど、このフラビオだけは「ちょっと演ったことあるよ」だった。「楽器は何を?」と聞けば「スルドなら出来る」という。おおおお、スルドが出来るということはタイトなリズムをキープ出来るという意味でもあるので、こりゃめっけものかもと思ってサンバの練習などに誘った。

フラビオ君、ピースは止めたまえ、ピースは!実のところはあまり大したことはなかったのだけど、なにしろその人なつっこい、明るい、前向き、積極的、社交的、面白い、などのキャラクターゆえに、いつの間にかメンバーになっていたのだった。それになにより外人顔、日系ではない典型的なラティーノ顔、それもどちらかというとキャラ味に富む面白い顔(?)なもんだからステージなんかではつい珍重してしまう。

あとは実際にブラジルから来たばかりのエスコーラ・ヂ・サンバの連中とハナシをする時などにも通訳として活躍してもらった。彼がいたから、伊勢であった「世界祝祭博覧会」の折にサンパウロのサンバチームが約一カ月伊勢のホテルに滞在中の時など、ほとんど毎日のように遊びにいって、最後には連中とすっかりお友達になれたりしたのだった。ホテルが祝祭博覧会に出演する世界の芸人さん達で貸しきられていると知ってからは、しょっちゅうロビーで大きな音を出してパゴーヂなどで楽しんだ。ヨーロッパの芸人さんなんかはピアノの弾き語りでお返ししてくれたりね。もうホントに楽しい毎日の夏だった。

フラビオはジムトレーニングにも熱心で、最初はボクとほぼ同じくらいの筋量だったのだけど、なにしろ熱心なトレーニーでいつの間にか三重県のボディビル大会で新人の部の2位入賞までやってのけた。それからもずっと筋トレは続けているようで、今日会った時など「わ!デケぇ、こいつ」と思ってしまった。特に上体の厚みがすごく増していた。

日本語など書くことはほとんど無いくせに「ワープロ特売--1台限り1万円」の時には郊外の安売り屋さんに前日から徹夜で並んで見事にゲットしたりしてた。(買ってからは日本語変換など使わないんですよ。単なる英数字タイプライターとして使っていただけ。)クルマも好きでホンダのシビックのオンボロ買って、でも買ってからエンジン換装までして、それを知り合いのブラジル人に高く売って、自分はレジェンドに乗り換えるという芸当までやってくれました。わはははは、ヤルなあ。

なによりハナシをしてて面白いヤツなんですよね。その彼が仕事の関係で四日市に転居しちゃってしばらく会ってなかったんだけど、今日は久しぶりにボクのところに遊びに来たという訳でした。聞いたら「10年の労働ビザを取ろうと思う」だって。をいをい、チミは”日本でせっせと働いてブラジルへ帰ってガソリンスタンドを経営して社長さんになって大きい家を買って、んでもってボクやボクの友達をブラジルに招待してくれる”ことになってたじゃないか?10年ビザだって。わーーー、ダメだ。こいつは日本に住み着いちゃいそうだ。なにしろ本人がブラジル人よりも日本人と交流したがるようなヤツだもの。

つづく

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