レニ・リーフェンシュタール
という人をご存知でしょうか?
1902年ドイツ生まれ。ヒトラーの下で1936年のベルリン・オリンピックの記録映画「オリンピア」を撮ったことで女流カメラマンで映画監督として有名ですが、元は舞踏家であり女優でもあります。70歳の時から潜水もマスターし水中映像も手がけ、93歳の現在も現役というから驚き!
ヒトラーのナチス党の記録映画なども手がけていたために、戦後の欧米では親ナチス、親ヒトラーの人物として長い間冷遇されてきました。しかし本人は絵を撮るチャンスが欲しかっただけで、政治的には無知であった(あるいは無知過ぎた)と後年に述べています。
確かにそうであろうと思わせるのは、その後の彼女の作品群を観ればよく分かります。彼女はオリンピックに代表されるような、生命や肉体の躍動感をひたすら絵に収めようとしたのだと思います。
70年代のパルコのTVCMで「牛のおしっこで顔を洗う少年」というのがありました。この時、ボクはとてもこの映像に惹かれたのですが、これを撮ったのがまさしくレニ・リーフェンシュタールで、その後、このTVCMが話題になったこともあり渋谷のパルコで彼女の写真展が開かれました。
その写真集が「NUBA」でした。これはスーダンの裸で暮す部族の貴重な映像記録でもありますが、とてもインパクトがありました。
左の人は全身に灰を塗って体を清潔に保っています。右の人は油を塗りこんだ上でペインティングを施しています。
二人が手にしているのは小さいハープのようなもので、午後のひと時を音楽しているといった風でしょうか。
こちらは暗闇の中でダンスに興じる少女をストロボで捉えたものです。小さい写真なので判りにくいとは思いますが、とても美しい。
まったくこのNUBAという写真集は、その中身であるスーダンの辺境地区に住む部族の生態にも驚くばかりですが、彼らが示す肉体の躍動感は素晴らしいものがあります。
レニはこの後も撮影活動を続け、その後にNUBAと同様の内容で、今度はアマゾンに住む部族の写真を発表しています。いや、その筈なのです。1970年代にボクはその写真を見て、深く脳裏に突き刺さるように記憶している一枚の写真があります。それをもう一度見たくてインターネットで探してみましたが、「オリンピア」や「NUBA」の資料は沢山出てくるものの、ボクの探しているアマゾンの部族の写真には出会えませんでした。
どういう写真かというのは、アマゾンのやはり裸で暮す部族の女性が、年に一度のお祭りの日だけ腰紐をまとうというものなのです。それも真っ赤な紐が一筋だけ女性の股間を通った写真は、とてもエロチックで、なおかつ女性の肉体美を誇示するものでした。
エロスとは?
服とは? 肉体とは?
といった原点に触れた気がしたのです。もう一度あの写真を見たい。
そう思っていたら、偶然にもその数日後、思いがけないところからこの「NUBA」の写真集をお借りすることが出来たので、偶然にしては余りにも通じてるなあと、なんだか感心してしまいました。
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