ものすごい速さで分厚い雲が千切れるように流れていく。雲が切れるとご覧のような綺麗な青空になるが、太陽が雲に隠れた途端に景色は冬のようなグレーの様相になる。
こんなに空の写真が好きになったのは理由がある。というのはアラーキーの写真集を観てて後ろのほうに本人の言葉があって、そこに「妻が亡くなってから空の写真を撮ることが増えた」というようなことが書いてあったからだ。これで分かった。
ボクが20年近く続けていた自営の店を閉めたのが2001年の8月。しばらくはショックでこの日記も中断していた。年が明けた2002年の1月から再びテキトー絵日記を再開したのだが、それ以前と違うのは妙に空を見上げてしまうことが多く、その結果雲やら青空やら、景色を撮るにしても空の面積が多くなったということだ。
空虚という言葉があるが、空(から)という字が空(そら)という字と同じなのは、なにか両者に通じる共通の気分があるのだと思う。別に今のボクが空虚な感覚を持ち続けている訳ではないけれど、アラーキーが盛んにセンチメンタルという言葉を使うのと同じで、なにかウェットな気分に空や雲の景色がピンと来るのだと思う。