先週延期になった神島ハイキングに行ってきた。鳥羽市に属する離島のなかでも一番遠く、伊勢湾口のほとんど渥美半島の近くに位置していて、鳥羽から市営の定期船が一日数便ある。三島由紀夫が小説「潮騒」の舞台に選んだ場所としても有名で、小説中では歌島となっているがこれは現在の神島の古名だそうだ。なにより小説で描写された島のあちこちの景色は50年以上経った今も当時とあまり変わらないというのがスゴイ。
ご覧のように面積の割りに高さのある島で、波止場から島で唯一の商店のそばを通って山頂を通り、島を一周する道があるが、そのほとんどが階段だったりする。このルートは近畿自然歩道として整備されている。一周に掛かる時間はだいたい2時間ほどで、途中で休憩などを入れても3時間未満で元の波止場に戻ってきた。今日もボクたち以外に数組のカップルやファミリーが下船したが、途中の観光場所はもちろん島のどこでも一緒で、少しくらいルートは違ったはずなのに結局皆さんも3時間以内に元の場所に戻ってきていた。
下船したのは朝の10時半、それから島内をゆっくり回っても1時半には戻ってきているのだけど、次に島を出る船は3時半でこれが本日の最終便。仕方ないので何も無い港でボーと2時間を過ごす。なにしろ商店が1軒、飲食店が2軒、お土産を扱うところが1軒しかないから景色を見て過ごすしかない。
島の生活ではノーヘルのバイクや軽トラの荷台に人が乗るなどはどこの島でも見かける割と普通の光景だが、神島にはナンバープレートの付いてない軽トラ、バイク、乗用車、ワゴン車、が走っていてこれにはちょっと驚いた。そういえば郵便局や役場はあったけど交番とか警察署は無かったような気もする。ま、しかしのどかですねい。
この島には、産土神の忌むところから、野犬はおろか、一匹の飼い犬もいない。斜面ばかりで、土地はせまいので、運搬のための牛馬もいない。家畜といえば、村の家並みの間を段をなして流れ落ちている石の小路に、くっきりと落ちた軒々のでこぼこな影を、尻尾のさきで撫でながら降りてくる飼猫どもだけであった。(潮騒p.28)
小説に描かれたとおりの景色を残すメイン通路と昔の洗濯場