以前にここで、ミシェエル・ルグランが音楽、ジャック・ドゥミが脚本・監督を担当した作品が観たいよ〜、ビデオもDVDも廃盤で、中古は2万円もするんだよ〜って泣き言を書いたら、よしよしなんとかしてあげようとM氏の計らいで無事に念願の2作品を観ることができました。改めてM氏に感謝<m(__)m>。
昔昔のその昔、ジャズ喫茶にどっぷりと浸かったような毎日でコルトレーンの至上の愛などを大音量で没頭して聴き込んでいた時がありました。思い出すのも懐かしい、当時はボクも学生で東京のジャズ喫茶の名店といわれたような店をはしごしたりしていました。吉祥寺のMEGやファンキー、新宿の木馬、PITIN、代々木のNARU、渋谷のSWING、ありんこ、オスカー、横浜の千草やダウンビート、などなど。でももっともよく通ったのが地理的な関係で明大前のマイルスでした。当時その店のマスターが愛聴盤としてしょっちゅう掛けていたのが仏を代表する作曲家でミュージシャンでもあるミシェル・ルグランで、彼がマイルス・デイビスなどと競演した「ルグラン・ジャズ」というアルバムでした。
ハードでシリアスな60年代ジャズが炸裂するジャズ喫茶が主流という時に、ルグランの洒落た音楽性はそれを消化するのに聴き手にもセンスを要求してるような気がしてました。しかしそれ以来あのルグランジャズを原点としてボクのルグラン好きは年々高まっていき、ついに「あーー、ミシェル・ルグランが聴きたい。それもフランス語のミュージカルとなった映画が観たい」となったのでした。ふーー、長い前説だ。
でやっと観ることが出来た作品は「ロシュフォールの恋人たち」。以前にこの絵日記にも書きましたが、これはもうミシェル・ルグランの音楽を聴かせるために作られた作品といっても良く、その雰囲気はこのオープニングのダンスシーンでも十分伝わってくるように思います。主演は若きカトリーヌ・ドヌーブと彼女の姉、フランソワーズ・ドルレアック、他にジーン・ケリーやジョージ・チャキリスなどがダンスシーンを盛り上げます。このオープニングでは一番左手でオレンジ色のシャツを着ているのがチャキリスです。
この作品はいわばオペレッタというところで、歌やダンス以外にも普通の会話のシーンがありますが、ルグラン+ドゥミのコンビ作品のもう一つ「シェルブールの雨傘」では完全にオペラ形式と言いましょうか、全編が歌で出来ています。したがって通常の会話のシーンはありません。またダンスのシ−ンもなく歌だけで映画が綴られていきます。ということは原曲としてのメロディラインの素晴らしさはもちろんのこと、アレンジという部分にもミシェル・ルグランの都会的な洒落たセンスの良さは光っています。
「シェルブールの雨傘」より
これはドヌーブを世界的なヒットにつなげた記念すべき作品で、もちろん彼女の可憐な美しさはいうまでもないですが、しかしそれにしても劇中で繰り返されるルグランの名曲「シェルブールの雨傘」のメロディはドヌーブに引けを取らず美しく感動的です。
うーん、しかしたまらんねえ。特に「ロシュフォールの恋人たち」は続けて2回も観てしまいました(^^♪。いや、むしろ聴いてしまいましたと言うべきかも。