今日は天気も回復してきて青空も見えてきたが、月曜日なので恒例のメンズデー割引で映画館。今日のお題は「迷子の警察音楽隊」。伝統音楽を演奏するエジプトの警察音楽隊が、初めてやってきたイスラエルで迷子になってしまった一夜のお話。もう映画のあらすじをパンフレットで見ただけでボク好みだなあと思って期待していたのだけど、やっぱりその期待を全然裏切らない内容だった。
エジプトから来た警察音楽隊が話すのはアラビア語で、地元イスラエルの人が話すのはヘブライ語。両者が会話する時は互いになまった英語でやるのだけど、こういう流暢ではない会話のテンポもこの映画の大事な要素になっている。それから意外にもチェット・ベイカーのMy
Funny Valentine が取り持つ縁というか、人と人とのつながりを表現する大事な小道具になっていたりするのもボク好み。堅物と思われていた隊長が「チェット・ベイカーはデビューから88年のラストレコーディングまで全部持っている」なんて洒落たことを言うのがいいね。
とにかくペーソス溢れるというのか、ヒューマンなとても愛すべき内容の映画だった。お薦めです。これで先週観た「レンブラントの夜警」で感じたツマンナイ分を取り返した気分。月曜日の午前中なので観客はボクも含めて7、8人だったけれど、エンドロールがアラビア語とヘブライ語の二ヶ国語で併記されつつスクロールされていくのを観ながら誰も最後まで立ち上がらなかった。映画の余韻を味わおうという気分が、少ない観客数ながら館内に満ちているのがよく分かる。そのエンディングで流れた音楽は去年トルコで買ったCDに入っている女性歌手とも似た感じの声だった。独自のヴィブラートとかコブシとか、どうも中東地方の標準的な歌い方っていうのがありそうだ。