朝8時、手術前の父を見舞う。見た目は元気なのだけど、なにしろもうかれこれ2週間くらい食べていないので一気に体重が減って体全体がクシュンとしぼんでしまった感じだ。
8時半、手術後は個室に入るので今の部屋を出なければいけない。着替えやベッド周りの雑多なものを部屋移動に備えて引越し準備をする。
9時、車椅子に乗って点滴を付けたまま看護師さんに連れられて父が手術室に入る。写真の奥に見えている白いカーテンの向こうが手術室になっている。ボクたちはこのカーテンの手前で父を見送る。頑張ってねと握手した。
母とボクと奥さんの3人が見送ってから、母とボクが残って3階のサロンというかテレビの置いてある前で時間を潰す。ふと上を見ると換気口がタバコのヤニで汚れている。ここも以前は喫煙できたんだな。しかし病院の中で、それも病棟でタバコが吸えただなんて、今から考えるととても驚いてしまう。
11時、再び奥さんがやってきたのでしばらくしてから交代で昼食を食べに出た。
12時40分、2時に手術が終わる予定と聞いていたので1時前に戻ったら、ちょうど看護師さんが呼びに来ていたところだった。そのまま手術室に入ったところで執刀医から今日の実際にやった内容説明を聞く。手術そのものは予定通りだったが、実際に開腹して病巣を直接観察した様子を撮った写真で見せてもらった。予想外の転移もあってこれは母にはショックだったみたいだ。その後もうしばらくお待ちくださいと言われそこで立ったまま待つ。
1時15分、父がベッドに横になった状態で手術室から出てきた。最初は朦朧としていたが看護師さんが大きな声を掛けると分かったようでこっちを向いて目を開けた。母が声を掛けてすがるように父の手をさすった。その様子を見ていたらボクも涙がこぼれてきた。
父はそのまま集中治療室に入った。あと1時間ほど待機してしてくださいと言われ、再びさっきまでいたテレビ前のソファーで待機する。
2時半、どうやら無事に済んだようで今日はもう会えないので帰っていいと言われ3人で病院を後にした。