** テキトー絵日記 ***
2009/11/30

「ミツバチのささやき」

リンゴを差し出すアナ・ ネットで探した画像を加工

今日もヒマなので市内の名画座で何やってるのかなと調べてみたら

「ミツバチのささやき」ビクトル・エリセ長編第1作。1940年スペイン。6歳の少女の感性を美しく驚異的な映像で描いた映画史に残る傑作! ■監督:ビクトル・エリセ 1973年 スペイン映画 99分

とあった。ボクは全然この映画のことを知らなかったのだけど、36年も前の映画を上映するというのだからそれだけの支持がある内容なのだろうと思ってネットで調べてみた。

そしたらやっぱり熱心なファンの熱い声援を受けていて、特にいくつかの場面での映像がとても素晴らしいとベタ褒めに近い書き込みがいくつも見受けられた。ふ〜ん、そうなのかあ、それじゃ観て来る価値はありそうだと思って、内容その他あまり知らないままに映画鑑賞に行ってきた。

観終わっての感想だけど、まずもって映画のストーリーはこんなです。けど印象としてなにかこのあらすじは映画の紹介としてはちょっと違うような気もします。ここに書いてあることに間違いは無いのですが、監督で原作を起こしたビクトル・エリセの表現したいものはもう少し違うような気がしました。「人間嫌いさん」とかつて妻から呼ばれていた父の、ミツバチの養蜂箱にかける情熱のような思いは、彼の孤独や絶望感の裏返しのように見えるし、美しい母が誰かに向かって手紙を書き続けるのも、村や家の中の閉塞感といったものが主要なテーマではないかと思えるほどです。

映画のタイトルは「ミツバチのささやき」ですが、原題のEl Espiritu de la colmena を英語に訳するとThe Spirit of the beehive なので、このspiritという言葉こそこの映画のキーワードになってくる精霊であり、ミツバチよりも彼らの巣箱である養蜂箱(beehive)こそが、この映画の主題ではないかと思います。つまり世界の全てとはハチにとって養蜂箱であり、それはこの時代を生きる彼らの閉塞感を表しているのではないかというのがボクの見方です。

う〜む、どうも上手く説明できませんが、いかにも多くを語らぬラテン文学の趣ですね。しかしそれにしても主役のアナを演じた彼女は可愛い。スタジオジブリの宮崎作品に出てくる主役の少年少女たちは、このアナの影響を強く受けているんじゃないかと思ってしまった。

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