** テキトー絵日記 ***
2010/02/06

「いい仕事してますね〜」

with FA35mm

このセリフで有名な中島誠之助氏の講演会を聴いてきた。江戸っ子の歯切れの良い語り口調はテレビの「何でも鑑定団」でお馴染みだけど、番組開始からのエピソードや番組裏話なども聞けて、なかなか面白い1時間半だった。

しかしボクが特に興味を持ったのは番組関係のハナシよりも、古美術という世界で、いかに目利きの習得をするかという部分のハナシで、聴いてみると、ああこれは他の美術や音楽といったアートの世界と同じだなと思ったことだ。

上等の本物をいつも観ていると、上等じゃないものや偽物などが一瞬で分かるということなのだけど、氏のハナシによれば、そういう上等の本物を見て感銘した体験の引き出しが頭の中に何百とあって、何かを鑑定する時にすぐさま、ああこれはあの時のあれという風に、対応する引き出しが記憶の中から引き出されるということなのだそうだ。

これはなにも芸術分野のことだけではないと思う。アドリブソロのフレージングにもこれと同じことが言えそうだ。しかも氏は「それが最近は年のせいですぐに対応する引き出しを見つけるのが困難だったりするんですよ。」「でもそのこと自体は訓練で維持できるんですね。」う〜む、見事なまでに古美術鑑定以外のことと通じているように思う。そのほか「捨て目」を持つという興味深いハナシもあったが、これも力を入れすぎないほうが良い結果になるというボクの実体験と重なるハナシだった。

無料で、しかも近所のホールでやってたのでヒマ潰しの気分で出かけたのだけど、いいハナシを聞かせてもらえた今日の午後だった。しかしそれにしても今日は一段と寒いぞ。

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