with FA35mm
今日は月曜日、つまり映画の男性割引をしてくれるメンズデーでもある。ということで朝からいそいそと市内の映画館に出かけたが、もうすぐこんなことをしなくてもいつでも割引料金で入れるようになる。でもそうなれば嫌でもシニアの仲間入りを実感するんだろうなあ、、、。
さて今日観てきたのは「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」という邦題が付いているアルゼンチンの映画で、スペイン語の原題は「Cafe
de los MAESTROS」となっている。直訳するとマエストロたちのカフェ。ウーン、このままのほうがカッコいいが、カフェというところで勘違いするだろうな。確かにタンゴはカフェの音楽でもありますし、往年のカフェの熱気を再現しようという企画でもあるのですが、実際には世界三大劇場の一つでもあるブエノスアイレスのコロン劇場で催される。他の二つとは、ミラノのスカラ座とパリのオペラ座だそうだ。
内容は、往年のスターシンガーやプレイヤーたちを一堂に会した奇跡のステージと呼ばれた催しをドキュメンタリー映画にしたもので、いわばアルゼンチンタンゴ版のブエナビスタと言えなくも無い。
ブエナビスタという言葉でつい比較してしまうのだけど、同じラテン音楽といってもタンゴは寒い、厳しいというブエノスアイレスの土地柄や気候風土が大きく反映しているように思えることだ。この辺の様子はヨーロッパとも通じるところで、だから音楽で言うと、タンゴはむしろクラシックと通じる部分があると言えるのじゃないだろうか。
この映画の中でもマエストロの一人でもあるピアニストが、より美しいハーモニーを模索している場面があって、そこで「ビル・エヴァンスのような美しいハーモニーを」と言っているのが印象的だった。ビル・エヴァンスだからと言って、ジャズに影響を受けているとは考えずに近代クラシックの影響を考えるのは、ビル・エヴァンスをご存知の方なら頷けると思う。
大抵のラテン音楽は暑い地域のイメージが強いのだけど、タンゴに関しては寒い地域で発展したものだという思いが、この映画を観て確信的に強くなった。しかしそれにしても高齢のマエストロたちですが、ピアノといい、バイオリンといい、それからもちろん主役のバンドネオンといい、皆さんすごいテクニシャンでバリバリの現役と思えるような人ばかりだったのは流石だなあ。
「もう70年もやってるんだぜい」 - おお、なんというカッコいいセリフだこと。