今日の雲 4:50PM by XR 18-200mm
朝日新聞には新聞内新聞というスタイルで、GLOBEという紙面が隔週の月曜日に配信されている。本紙とは紙質が違う上に、横書きなので紙面も左から右へと続く。そのGLOBEの昨日の特集が「写真は死んでいくのか」というもの。
ちょうど先日買ったばかりの長倉洋海「私のフォト・ジャーナリズム」を読んでいるところだったので、彼が撮影したアフガンのゲリラリーダーの写真が目に飛び込んできた。写真のタイトルは「一人、山上で」というものだけど、この写真を撮った背景を知らないと、これがどういう意味を持つものなのか分からないのではないかと思えた。
昔、名取洋之助の写真論を読んで、写真そのものと、キャプションと呼ばれる、その写真のタイトルもしくは簡単な説明文がいかに大事かを知ったのだけど、この「一人、山上で」というキャプションから、これが普段激しい戦闘の毎日を送っているゲリラ側のリーダーが、珍しく野花咲くのどかな日向で読書に耽っている。ああ彼も穏やかで読書好きな青年の一人なんだなあと感心してシャッターを切ったという撮影者、長倉洋海の意図を感じられるものだろうか?
逆に言えば、そういう写真の裏側にある一切の事実を知ること無く、これが名作的な写真と判断出来るのだろうか?もしそうならキャプションの重要性を説いた名取洋之助の意見はどうなってしまうのか?それとも報道写真と芸術写真ではキャプションやタイトルの持つ意味合いが違ってくるのだろうか?
長倉洋海「一人、山上で」 新聞紙面より