*** テキトー絵日記 ***

2011/02/06

日曜版の新聞紙から

with XR18-200mm

今日の朝日新聞の書評関連のページに面白い記事があった。ノンフィクション作家の佐野眞一さんが書いていて、タイトルは「本の哲学を深化させるとき」というもの。

内容は電子書籍に対する提言と洞察とでも言おうか。音楽も扱えます映像も扱えますという電子書籍なるものに対して<でも、それって本当に本の進歩なの。>と疑問を投げかける。10年前には『だれが「本」を殺すのか』という本を出版した彼が、この度ソニーのリーダーにこの本を入れたという。記事にはそのタイトルを映しだしたリーダーを手に持つ彼の写真が出ている。この写真だけでも充分その皮肉さというか不条理感が観て取れる。

ちなみに彼がソニーのリーダーを選んだ理由は他にあれこれ出来たりしないところを評価したからだそうだ。うん、これボクにはよく分かる。キング事務が出したポメラにボクが惹かれたのもこれと全く同じ理由で、他にあれこれ出来たりしないという単機能ゆえ。楽器をやる人がエレクトーンに魅力を感じないハナシとどこか通じている気がする。

佐野眞一さんの記事の要点は、今までの電子書籍は良くないがこれならいいです。使います。とかいうものではない。「本」のカタチがどうあるかではなく、「読む」がどうあるかという論点に重心を移動させつつタイトルに結論を導く。最後のパラグラフを引用しておく。

紙であれ電子であれ、情報や知識や感動を搭載したビークル(乗り物)に過ぎない。ビークルの進化論はそろそろやめて、本をどう見るかの哲学こそ深化させるときではないか。

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