俯瞰のラストシーン with XR18-200mm
今日は映画「デザートフラワー」を観てきた。この映画が実話に基づいたハナシだということは承知していたのだけど、実際に映画を見終わって、ここまでシリアスに社会的な問題提議をしている映画だとは思わなかった。
例によって雰囲気は公式サイトでどうぞ、なのだけど、今回は英語のほうの公式サイトにリンクしているので内容を簡単にご紹介しておきます。以下
ソマリアの砂漠で遊牧民の娘に生まれたワリスは、身売り同然の結婚から逃げるためにモガディシオの叔母のところまで砂漠を一人で渡る。叔母の勧めで英国に渡ったワリスはメイドなどの下働きで6年を過ごすが、その間もほとんど英語は喋れないままだ。そんなある日、有名なファッションフォトグラファーに見出されたことをきっかけに一流ファッションモデルへの道を登りつめていく。
と、ここまでなら、いくら自伝に基づいた実話と言っても、よくあるサクセスストーリーの一つでしかないのだけど、この映画はここからがスゴイ。そんな有名になった彼女が世間に、いや世界に訴えたかったことは、アフリカで今も多くの女性が被害を被っている女子割礼の実態とその廃絶なのだった。
映画の中でも詳しく語られるが、ここで言う女子の割礼とは、クリトリスと外陰唇、小陰唇の削除で、残るはマッチ棒程度の小さな穴だけなのだそうだ。それ以外は縫合され閉じてしまう。結婚した時に相手の男性はこれをナイフで無理やり切開し性交の対象とするのだそうだ。こんな割礼を彼女は三歳の時に経験する。
遊牧民出身のトップモデルとして、一流雑誌からインタビューを受ける彼女は、世界が求めるサクセスストーリーよりも、自分が経験したこの女子割礼の実態とその悲しみを話す。そしてやがてこれを国連の場で話すことによって、この奇妙な風習が廃絶されることを願うところで映画は終わる。
いろんなことを考えさせられる映画でした。デザートフラワー(砂漠の花)とは彼女の名前・ワリスの現地語の意味だそうです。