オフィシャルサイトから
前から観たいと思っていた映画「ビューティフル」(原題:BIUTIFUL)の新富座での上映が明日でお終いだということに気づき、急遽観てきた。この作品は映画館が配布している上映予定の紹介文章を読んで興味を持った映画でもあるし、NHKテレビのスペイン語でも番組内で紹介していたこともあり、さらには最近、この手の現実的なドラマを観ていなかったので余計に期待していた。
例によって映画の予告編とかキャストなどは公式サイトで見て頂くとして、いやぁ、さすがはイリャニトゥ監督、こういう社会の裏側を描きつつ、変わらぬヒューマニティといったものを演出していくのが実に上手い。もちろんそれには俳優たちの演技が光っているのは言うまでもないが、半分はドキュメンタリーなのではないかと思わせるほどの出演者たちのそれぞれの存在感が実に見事だ。
もちろん主人公を演じるハビエル・バルデムは特別に素晴らしく、彼がいたからこの映画が成立したのではと思ってしまう。妻役のマリセル・アルバレスはアルゼンチンの舞台振付師で、この映画が女優としてのデビュー作というが、彼女の演じる狂気といったものも、この作品の持つ哀しみや優しさの深みを大いに際立たせている。
バルセロナの裏側に生きる移民や底辺の人たちの生活を舞台に、一見優しさとは縁のないタフな環境での人々の愛やヒューマニズムを描いた2時間半です。
こっちの予告編のほうが「海辺のカフカ」引用編よりもストレートでビューティフルだ。