市立図書館 by X10
朝から曇っていたが、午後には冷たい雨が降りだした。コンスタント・レインという曲のメロディが浮かんでしまう。
午後、母を気功教室に送ったついでに図書館で読書。といっても前半は月刊のカメラ雑誌をパラパラと。後半は新書コーナーを眺めていたら、秋吉敏子の書いた半生記「ジャズと生きる」が面白そうだったので、久しぶりに借りてきた。貸出カードが近隣の市町村合併以前のものだったので新しく作りなおしてきた。
満州を引き上げてきた秋吉敏子の一家は無一文同然。そこで敏子が博多のダンスホールに貼ってあったピアニスト募集に応募するのだが、以下抜粋。
楽長に渡された譜面を見るとオタマジャクシはなくて、曲名とコード記号だけである。コード記号なんてそれまで見たこともなかったから、「これは何ですか?」と聞いたら、「あんた何も知らないね、何か弾いてごらん」と言われた。仕方がないから空覚えのベートーヴェン「ピアノソナタ三番」の頭をひいたら、「ああ、ピアノはよく弾けるね」と喜んでくれて、「今晩は適当にやってればいい。明日、コード記号を教えてあげるから」と楽長が親切にして下さった。私はわりに耳が良い方なので、適当にブンチャ、ブンチャとやって、その夜は終わった。(p37-p38)
ううん、いいハナシじゃないか。そうなんだよね、昔はこんなもんだった。といってもボクは終戦直後のことなどは何も知らないが、それでも40年前の生音楽の演奏現場はこんなものだったと思う。つまり少々ミスしようがあまり細かいコトは言わず、実に大らかなもんだった。そんな中で新人が育っていくのだ。聞いたハナシによると、これはスタジオ録音の世界でも同様で、昔はちょっとくらいトチっても録り直しをしてカバーしてくれたそうだ。それが今はちょっとのミスも許されないという現場なので若手が育たないというのだけど、これはなにも演奏の世界だけのことじゃなさそうだ。
さて今夜はこの本を読むことにしよう。BGMはやはりズート・シムズで決まりだな。これなんかもイイネ。
このビブラートにシビレルなあ