樽型パースペクティブ with X10
今週も木曜は母の送迎がてら図書館で過ごす。先週、岩波新書のコーナーで秋吉敏子の半生記を見つけて、これが面白かったので、今週も新書コーナーで何かないかと探す。
まずは中国の辺境地や少数民族をルポした写真紀行が面白そうだったので、これを読む、いや、観る。次に「写真の見方」という本をパラパラとやる。昔はこの手の本が好きだったのでいろいろ読み漁ったのだけど、今日の本もかつて読んだような内容だった。荒木とメープルソープのそれぞれの花の写真を比較したり、エルスケンの「セーヌ左岸の恋」のドラマ性とドキュメント性についてとか、ふむふむ、そうだったなあという感じで飛ばし読み。
それから「ジプシーとは何か」。ロマとかマヌーシュとかヒターノとか言われる人たちのことを前半は社会学的に、後半は彼らの音楽性について研究してあって、前半も興味深いことながら後半は圧倒的に面白い内容だった。クラシック界ではバルトークなど影響を受けた人たちのことを、またジャズではジャンゴ・ラインハルトが創出したジプシー・スウィングと言われる音楽が他の演奏者に与えた影響などについて書いてある。なかなか面白い本だった。
最後にずばり「コルトレーン」というタイトル。しかしいい時代になりました。発表された当時はいったいこの楽曲はどうなっているのだ?と取りざたされた「ジャイアント・ステップス」の別名マルチ・トニック・システムと言われるトーナリティ構造について実に分かりやすく書いてある。しかし名曲「ブルー・トレイン」のキーがブルースにしてはヤヤこしいと思っていたら、録音に参加したカーティス・フラー(Tb)の証言で「あれはコルトレーンがアルトのキーで作曲したので、あんなにやりにくいキーになったのだ」というハナシで目が点になった。な〜んだ、そうか、そうだったのか、そんな簡単なハナシだったのか。