ブラザー、ヤングエリート with X10
40数年前に東京の大学に進学して以来、引越しをしょっちゅうすることになった。四畳半一間から始まって引越しのたびにだんだん住まいも広くなっていった。就職し、結婚し、こどもが生まれ、二人目も生まれと、引越しはなんらかの理由があってしていたのだけど、とにかくアパートやマンションを移り歩き、今の一軒家になるまでに8回も引越ししている。
狭いアパートやマンションに引っ越す場合、一番のモットーは不要不急の荷物は捨てるということで、使われなくなったものは惜しげも無く捨てていた。いや、そうせざるを得なかったというのが本当だ。だからかつて馴染んだモノは今現在ほとんど手元にない。そんな中でこれだけは捨てられなかったというのがこの写真にあるブラザーの英文タイプライターだ。これだけは40数年間、押入れや物置の奥に仕舞われ続けていた。今日それを写真撮影のためにフタを開けてみた。インクリボンは乾いてしまっているが、電動ではないし完全手動式なので今でもちゃんと使えるはずだ。
これを何に使っていたかと言うと、持っていたジャズのアルバムのリスト（曲名、演奏者名、録音日など）を作ったり、歌物の場合は歌詞を書き写し、いや、打ち写しというべきか、をしたりとそんなことをしていた。この数年後にはシャープのMZ80K2Eという8ビットパソコンも始めているので、基本的にキーボードが好きだったんだと思う。
しかし、今あらためて愛用していたタイプライターを眺めてみると、こういうアナログの道具は一種の機械美を持っていることに気づいた。ひょっとしたらこの美しさが好きだったのかもね。
