マクロアート第二弾「ドラマチックファスナー」 with X10
フルメタルジャケットなんていう映画があったが、この写真を撮りながらその言葉を連想してしまうのは、なにかそういう硬質な道具感をファスナーに見出してしまうからだろう。使い込まれながらも耐久性を誇る有様というか信頼性は、武器などと共通しているような気がする。
12月もいつの間にか半分が過ぎて、もうちょっとで今年も終わりになる。個人的な今年の十大ニュースとか書いてみたい気もするが、何事も終わってしまうとサッサと忘れる性質ゆえか、特に振り返ってみるような出来事も思いつかない。
そんな中でもやはりキューバのことは印象に深かった。なにしろ日常のどこにでも音楽があって、オープンマインドでフレンドリーな人たちが決して豊かとは言えない物資の中で生活している。国民の95%が混血で、ゆえに誰がどの人種かと区別することはもはや無意味と言えるほどで、医療費、教育費は完全に無料という社会制度と、かつての旧ソ連時代の援助のお陰で医者が大量に生まれて、その結果キューバは医療先進国であり、今や医者の輸出国でもある。
でもその医者の平均月給は3000円、一般の公務員の平均月収が1500円。二重貨幣制度のことを考えると、これらキューバペソは24倍するのが兌換ペソとなるから、医者の場合でも月給は10万円に満たない。ならば観光客相手にチップを稼いだほうがよっぽど収入は良いから、勢いみんなが観光客からチップを貰えるミュージシャンを目指すことにもなり、またそれが演奏者の裾野を広げる事にもなり、質の向上にも貢献しているのは事実だ。
そういった社会的な実情はあるものの、日本人がキューバンなラテン音楽に浸ろうと思って行けばキューバは音楽天国だろう。振り返って今の日本、生の音楽を味わう習慣は無いのか。