*** テキトー絵日記 ***

2012/05/18

「マーガレット・サッチャー」

開演前の新富座 by X10

これは昨夜のハナシになるけど、話題の映画「マーガレット・サッチャー」を観てきた。内容は、まあ伝記物ということだけど、現在の認知症を患っているサッチャー女史が、現実と過去の記憶を混同していることを踏まえて映画は作られている。

ストーリーとして特に娯楽的要素があるわけではないが、実際のサッチャー女史が辿ってきた道筋は、振り返るに充分な歴史がある。事実は小説よりも奇なりというわけだ。

それにしても特筆すべきは主演のメリル・ストリープの演技で、彼女がこの映画でアカデミー主演女優賞を受賞したのも当然だろう。本物のサッチャー氏が英国首相に在任していた1979年から1990年を演じるのは、昨年62歳になったメリル・ストリープにとってさほど難しくはないかもしれないが、その彼女が80代の老婆となったサッチャー氏を演じるのは迫真の演技といえよう。

アメリカ人のメリル・ストリープが完璧なイギリス英語で話すのも見所の一つで、特に演説や国会での主張のやりとりのシーンなどは、言葉の魅力というものを改めて気づかせてくれる。日本語字幕とは違うが「(かつての私たちは)try to do something であったが、今のあなたたちは try to be someone でしかない」といってやりこめるシーンなどは特に印象に残った。これ今の日本の政治でも同じことが言えそう。字幕では「行動するより権力を持つことを選ぶ」となっていたと思う。

去年の4月に観た映画「英国王のスピーチ」でもそうだったが、やはりリーダーになろうとする人は言葉でもって多くの人を率いるだけの実力を持つ必要がある。それほど「言葉」は魅力が有り、威力が有るということだろう。

今月のINDEXへ戻る  ホームへ  つづく