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定例となりつつある木曜午後の図書館。今日は雑誌コーナーではなく奥の蔵書から瀬川昌久氏の「 ジャズで踊って」という本を拾い読みしていた。内容は「ジャズの発生、日本への渡来、太平洋戦争開始前までの日本のジャズ、タップダンスの変遷を豊富な資料で綴る。エノケン、笠置シヅ子、名タッパーたちをはじめ、戦前に花開いた日本のジャズとモダニズム文化を生き生きと描く。」というもので、以前に読んだ「シャープス&フラッツ物語」が戦後の日本におけるジャズの発展史ならば、こちらは戦前までの日本のジャズ史について実名入りで詳しく書かれている。
400ページ近くある本なので、いくら拾い読みでといってもとても全部は目を通せなかったが、それでも戦前にこれほど豊かな先駆者たちがいたことには驚かされた。やってることもモダンであり(もちろん当時としてはですが)、進取の精神に富んでいる。
ジャズというとアメリカの音楽なので、戦後になって進駐軍と共に日本にやってきたというイメージが強かったのだけど、決してそんなことはなかったのだ。太平洋戦争のはるか以前からジャズに取り組み消化していた日本人音楽家たちは沢山いたということだ。そりゃ確かにビバップからモダンジャズといった当時のアメリカでも最新のムーブメントは戦後になって来日したアメリカ人ミュージシャンによるところが大きいとは思うのだけど、広義で捉えるジャズ音楽はもっと以前に日本でも花開いていたことがよく分かる。
それにしても瀬川昌久氏、1924年、大正13年生まれということだけど素晴らしい記憶力をお持ちの方だ。もちろん資料などを丹念にあたって執筆されていると思うのだけど、資料だけでは起こった事象の相関関係などは書けませんからねえ。