開演前 by X10
毎年恒例となってきたウインナー・ワルツ・オーケストラのニュー・イヤー・コンサートに行ってきた。今年は歌あり踊りありの盛り沢山な内容で、一段とショーアップされた内容だった。
歌ありというのはシーリーン・アスガリというエスニックな容貌のソプラノ歌手。彼女はソプラノでもコロラトゥーラ・ソプラノと紹介されていて、これは「最も高い音域を歌うソプラノ。
声は軽やかで、超絶技巧を得意とする人が多い。」ということだそうだ。確かにすごい高音域で装飾音符を自在に歌っていた。あんなに高い声で声帯を痛めないかと余計な心配をしてしまったほどだ。
おまけに彼女はテヘラン出身、なのでインドを舞台にした歌劇「ラクメ」からの”鐘の歌”のエスニックなメロディがとても良くマッチしていた。
それから踊りあり、というのは今年は男女それぞれ2名ずつのバレエダンサーを伴っていたからで、やはり伝統的で王道のウインナー・ワルツを味わうにはバレエが欠かせない。衣装が全部違っていたのも飽きさせない工夫だ。
肝心のオーケストラは総勢25人、オープニングの「こうもり」序曲から始まって第一部が7曲。休憩を挟んだ後半の二部は最初の曲が歌劇「レーモン」の序曲。これは初めて聴いたのだけどボク的には驚いた。これはなんとスタンダードソング「Hush
a bye」の元歌だったのだ。知らなかったなあ。このハッシャバイはボクも好きな曲なので良く演奏するのだけど、なんと元のネタは歌劇の序曲だったとはねえ。「エリーゼのために」が「情熱の花」になったようなもんですね。うむむむむ、しかし知らなかった、、、。
それからボクの大好きなハンガリー舞曲(ブラームス)を取り上げてくれたのも嬉しかった。この出だしの弦楽のハーモニーは何度聴いても痺れます。こうして二部は予定曲が9曲、そこから最後にたっぷりのアンコール。このアンコールではコンサートマスターのバイオリンとチェロの二人だけで演奏されたヘンデルのパッサカリアが素晴らしく良かった。やっぱりバロックはいいですよ。
というわけで内容充実の新春コンサートだった。ホールに響き渡る弦楽の生音は、たっぷりと耳の栄養になった。