予告編からスナップ by X10
話題の映画「フライト」を観てきた。航空機事故を舞台にした人間ドラマということは事前に知っていたので、ハナシの運びには違和感を持たなかったが、ちょっと待って、そもそも今のジェット旅客機にこんな芸当が出来るものなのか。
今から30年ほど前のことだけど、ボクがまだ神奈川に住んでいた頃のハナシ。当時一緒にバンドをやっていたピアニストは現役のJALのパイロットで、ある時ボクが彼に「旅客機は宙返りが出来るか?」と尋ねたことがある。そしたら彼の答えは、「操縦の腕がどうであろうと旅客機は逆さまになって浮力を得るだけの強度が無い、無理にやれば空中分解する」ということだった。
勿論これは30年も前のハナシなので旅客機の強度というものが当時と今とでは違っているのだろう。ただ、一旦墜落しかかった旅客機が、この写真のようにひっくり返ったまま低高度で滑空するということが果たして可能なのだろうか。パイロットの腕前のことではなくて飛行機の構造上のことでね。
というのもこの映画はパニックディザスターものではなくて、そのことで浮かび上がる人間性のドラマということだから、そもそもの設定に疑問が湧くとそれ以降のハナシに真実味を感じられなくなるからだ。トラとボートで漂流するというようなファンタジーならばともかく、アル中、ジャンキー、セックス、離婚、など地上に起こる現実的なハナシを描いているだけに余計にそのことが気になった。