*** テキトー絵日記 ***

2013/05/17(金)

もののあはれとSaudade

ブーゲンビレア by X10

数日前の朝日新聞に、「もののあはれ」とは<共感の眼差しで対象を見るときの人間の思い>であるという「古典基礎辞典」の解釈が紹介されていた。その話を読みながら、これってポルトガルからブラジルの庶民感覚の中心をなすSaudadeという言葉と同じなのではないかと思った。

そのSaudadeの感覚をベースに置いたポルトガル音楽がファドであり、ブラジルでは特にボサノバやスローサンバでこの言葉がよく使われている。ボサノバの第一号と言われているのが Chega de Saudade(シェガ・ヂ・サウダーヂ:想いあふれて)だし、ポルトガルは別名Pais de Saudade(サウダーデの国)ということだし、どちらの国の音楽もこのSaudadeの気分を理解しないとニュアンスを掴めないとまで言われている。日本では「もののあはれ」という言葉自体が古典に属するので現代語訳が難しいが、演歌の世界でこのフィーリングが脈々と受け継がれているのじゃないかと思う。

もっとも朝日新聞の天声人語によると【(美術館員の)石田さんは昨夏、花火を見る若者が「やばい」を連呼するのを聞いた。感動詞あはれの、これが現代版である。】とあるが、「やばい」は現代版の感動詞には違いないだろうがSaudadeじゃないよなあ。

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