まるでお城のようなトマールのキリスト教修道院 by X10
旅行4日目。コインブラから80km南下してトマールのキリスト修道院を見学。ここはそもそもがテンプル騎士団の拠点だったところで、アプスと呼ばれる祭壇にあたる部分も馬に乗ったままで祭礼を捧げることが出来るようになっている。馬に乗ったままというのがセビージャのヒラルダの塔を思い起こさせる。ただし内部の装飾はこちらが圧倒的で、現在は宗教施設ではないのに世界遺産の認定を受けているのも納得の素晴らしいものだった。ちなみに最初この修道院の外観を目にしたとき、天空の城か!とつぶやいてしまった。ジブリのスタッフもきっと訪れているのではないかと勝手に想像した。
円堂と呼ばれる祭壇の半円部を下から見上げる
回廊も素晴らしい
廃墟となったままの建設初期部分も美しい
午前中にここの観光を終え、午後は50km離れたバターリャの修道院へと向かった。トマールの修道院は正確にはかつての修道院ということだが、ここバターリャの修道院は今も宗教施設として現役で機能している。基本的な建物は一目でゴシック建築と分かるほどの典型的な特徴を持つ教会部分と、各種の様式をもつ回廊などが素晴らしい。しかしなんといっても、ここの圧巻は未完の礼拝堂といわれる、今の教会のアプス部分のさらに裏側だろう。ポルトガル特有のマヌエル様式で柱やアーチ部分の装飾的彫刻が凝りに凝った当時の勢いを今に伝えてくる。結局、ポルトガルが誇った大航海時代の終焉と共に財政難から建築が途中で放棄されたものだ。
典型的なゴシック建築のバターリャ修道院
あまりに素晴らしいので本日の第二タイトル写真とした。
西側ファサード
アプスと未完の礼拝堂部分の外観
装飾を排した高さ32mの身廊
祭壇
この裏側に有名な未完の礼拝堂がある
屋根部が建設されないまま未完の礼拝堂
精巧な石工装飾の柱
遠望
今日の最後の観光は、かつて小さくて素朴な漁港だったナザレの町並みを、崖の上の絶景ポイントから見学し、その後、海岸に面したレストランで地元の名物料理を頂いた。「カルド・ヴェルデ」ちりめんキャベツとすりつぶしたジャガイモのスープ、チョリソ入り、「パステル・デ・バカリャウ」ほぐした干しダラとジャガイモのコロッケ、「サルディーニャシュ・アサーダシュ」イワシの塩焼き、をお勧めのヴィーニョ・ヴェルデ・ワインで頂いた。このイワシが新鮮でめちゃくちゃ美味い。ナイフとフォークが無かったら洋食とは思えない。そりゃそうだ、ただの塩焼きだもの。
崖の上から見たナザレの町
ここでは大西洋に沈む夕日の鑑賞が一つのポイントでもあるのだけど、残念ながらその時刻には雲が広がって夕日を見ることは出来なかった。
このナザレでは夫を亡くした女性は伝統的な黒い服を着ていて、それがこの町の風情でもあるのだけど、とある店でお土産を買ったらそこの女性、というか、お婆ちゃんもそういう格好だったので、つい「おいくつですか?」と訪ねたら「82歳」とのこと。思わず「ボクの母も82歳です」と話し、どちらから?と聞かれたので「日本です」などと短いがプチ・ポ語会話を実践できた。一人で土産物店をやってる姿に母を思い重ねてしまったので、彼女と握手をし、写真も撮ってきた。しかしナザレではポ語も訛が強く最初はなにを言ってるのか分からなかった。まあ港町というか漁港などではポルトガルに限らず伊勢志摩でも同様のことが言えるのだけど。
彼女は82歳