ハバナにて 2011年10月6日撮影 by K20D
今日一番の驚きのニュースはこれにつきる。キューバ危機以来、長年続いたアメリカのキューバに対する経済封鎖が終結した。まあ、社会主義と言ってもキューバの場合は主義信条によるものではなく、アンチ・アメリカ政策の結果、親ロシアという路線を選んだのにすぎないわけで、カストロにしたって、独裁者というプロパガンダをいくら米が宣伝しても、実際のキューバ国民にはとても親しまれている人物であることは間違いない。
物資困窮のキューバでは2011年から部分的に市場経済を導入し始めていた。米の戦略としてはそんなキューバをさらに自分たちの陣営に近づけることで、キューバと緊密な仲のベネズエラを孤立させることにあるらしい。なにしろベネズエラの故・チャベス大統領は中南米一の反米主義者でもあったからだ。
だから今日のニュースにしたって、米は決して宥和政策に転換したわけではなくて、あくまで自国の利益追求のための政策の一環としてキューバとの国交正常化を決定したに過ぎない。昨今の原油価格の低下にもうがった見方が出ていて、それは米とサウジアラビアが手を組み、原油価格を低下させることでベネズエラの経済を縮小させる狙いがあるのだとか。原油価格の低下はイランやロシアに対する経済制裁の意味合いもあるので、米の政策的な戦略が噛んでいるのは間違いないだろう。市場経済と言っても政治と無縁ではいられない。むしろ大国の政治的な思惑に影響されているのが現実の姿だろうと思う。