夜道 by G1X Mk2(ポスタライズド)
こうして絵画調にしてみると、普段見慣れた景色もちょっと新鮮に見える。してみると何を見せるかよりも、どう見せるかが勝負なのだなと思ったりする。
「野田俊作の補正項」という日記風に書かれた彼の述懐を記したサイトがあるのだけど、一昨日の記事に「むかし、お酒を飲んでいたころは、スコッチ・ウィスキーが好きだったが、あれは混入している雑物がおいしいのだ。雑物を取り除いて純アルコールにしたら、おいしくもなんともなくなって、ただ薬品になってしまう。」という一文があった。
ヤマハの金管類はヨーロッパの交響楽団などで評判が高いのだけど、それは名器とされる楽器が生まれた頃の、つまり産業革命華やかなりし頃のヨーロッパの空気中に含まれる工業的なばい煙などの成分を、管楽器製造の途中においてわざと混入させた結果が産んだものと言われている。
それ以前は、いかに混じりっけのない真鍮で音質を改良するかという点に集中していたのだけど、何をどうやっても当時の名器の響きに敵わない。そこで敢えて雑物を混入させたら、これがその後の楽器製造者としての高い評判になっていったそうだ。
もちろん、何をどれだけ混ぜればいいのかは大変な試行錯誤の苦労があったと思うが、純粋なものより不純物を含ませた方が良い結果になるという教訓でもある。さて、それが冒頭のハナシとどう関係があるのかというわけだが、そこにあるものそのものよりも、それを伝えたい者(つまり写真を撮ったボク)の余計な作業が加わったほうが結果が良くなることもあるのではないか、と思ったのでした。