開演前 by G1X Mk2
今日は久しぶりのオペラ鑑賞。お題はロッシーニの書いた「セビリアの理髪師」、演ずるのはハンガリー国立劇場で、ここの歌劇団は以前にも見たことがあるなと、過去の日記を検索してみたら2002年の「カルメン」がこのハンガリー歌劇場によるものだった。そうか、あの時か、え?でもなに?もう13年も前のことかとちょっと驚いてしまったが、それにも増してこういうことが一発で検索できてしまうオンライン日記の便利さよ。今や個人的なデータベースとなりつつあるぞ。
この「セビリアの理髪師」を見るのは初めてなのだけど、ストーリーはいかにも19世紀初期のイタリアオペラ定番ともいえる内容で、早い話が一人の女を取り合いする二人の男のハナシ。とまあ、こう書いてしまうと身も蓋もないが、それでも全体に喜劇調なのが今までのオペラとは違うところで、特にワイロを渡すシーンでクレジットカードを取り出して、それを相手がポケットから出したカードリーダーで読み取るところなどは現代風のお笑い要素と言えよう。
オペラとしての舞台装置や衣装や歌の数々などは何も問題ないのだけど、やっぱりハナシの筋が現代の目で見るといかにも古臭い。もちろん古典芸能としてはそれでいいのだけど、それを素直に受け止めて笑う感性がボクには足りないようで、後ろの席の女性たちは声を上げて笑っていたが、ボクにはそんな真似が出来なかった。狂言を見ていて、太郎冠者がいくらおかしな真似をしたからといって、それをストレートに受け止めて笑うことが出来ないのと同じだ。
今日の舞台は写真で見て分かるようにカーテン(緞帳)が無い。なので最後のいわゆるカーテンコールもノーカーテンコールで行われたが、これだといかにも予め決められていたコトというのが丸わかりだ。まあ、どっちみち、お約束という部分はあるにせよ。それにしてもなまじイタリア語を習った身としては女性のソプラノ独唱に掛ける「ブラボー!」は失礼なことがよく分かった。相手が女性の場合は「ブラボー!」じゃなくて「ブラバー!」ですよ。「ブラボー!」は男の相手に対してだけのこと。男女混合の相手に対しては「ブラビー!」ですよ、と注意したくなったぞ。