*** テキトー絵日記 ***

2015/10/27(火)


ヘッドフォンで聴く

「正午」 by G1X Mk2

日曜日に名古屋までギドン・クレーメルとクレメラータ・バルティカのコンサート鑑賞に出かけた際に買ってきたのは彼らの新しいアルバム「new seasons」だった。今日の午後はこれをじっくり鑑賞しようと久しぶりに密閉型のヘッドフォンを引っ張りだしストリングスの生み出す芳醇なハーモニーに身を置いてひとときを過ごした。

最近は音楽を聴くといっても小さい音で鳴らしているのを聴くだけなので、こうやって音量豊かな音空間での味わい方を忘れていた気がする。特に主旋律を耳で掴むだけなら小さい音で聴いていても問題はないのだけど、今日のアルバムのように20数名の弦楽器がそれぞれのパートを受け持ってリッチな空間を演出しているからこそのメインソリストとなる場合は、やっぱり気持ちとして音空間の隅々まで聴きたいという願望が出てくる。

これは彼らのような弦楽オーケストラだから特にそう思うのだけど、自分が若い時には例えばゴリゴリにブロウするようなフリージャズであっても、やはりその音場に体ごと埋めたいという気持ちで聴いていたことを思い出す。その場合でもソリストの旋律はもちろんのこと、伴奏のピアノの音やベースのライン、ドラムのシンバルワークなどが見えてくるような感じで聴こえるので大音量を得られるジャズ喫茶の存在は有り難いものだった。

考えてみればいつの頃からか、音楽と対峙するような聴き方をしなくなっていた。つまり上の言い方でいうところの、主旋律だけ聞こえればいいやというような聴き方しかしなくなっていた。ビル・エヴァンスが演奏する曲でペダルのオン/オフまで聴き込みたいというような聴き方は永らく縁がないなあ、と珍しくそんなことを思ったのは、これも名古屋の帰りにコンサートホールと同じ建物の中にあるミュージアムグッズの売店で買ってきた文藝別冊「ビル・エヴァンス」を読み始めたからだった。

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