by G1X Mk2
暖を取る方法もいろいろあるが、ハイテクなものほど火や炎から遠ざかるような気がする。でもボク自身が古風なのかもしれないが、一番心が穏やかになるのは直接火にあたることだ。外なら焚き火だろうし室内ならストーブだな。ファンヒーターも炎だけど直接には見えないし。
これは部屋そのものを暖めることに関する効率とか、輻射熱と対流熱のことなどを勘案したうえで、どの方法がベストかといった科学的な問題ではない。エアコンの吹き出し口を眺めても面白くもなんともないが、ストーブの揺れる炎を見ているだけで気持ちが落ち着くのは人類の持つ太古以来のDNAのせいじゃないのだろうか。(もっともボク自身は二槽式洗濯機で洗濯槽の洗う渦をずうっと眺めているのも嫌いじゃなかったのだけど)
今年の直木賞と芥川賞の受賞作が発表された。そしてそれぞれの作品の簡単な解説を見たのだけど、そこで青山文平氏の「つまをめとらば」に俄然興味が湧いた。江戸時代の後期、次第に力を失っていく武家社会のなかで生々しく女たちを描いた現実感、といったようなことだ。さっそく電子書籍で購入して、この本に収録されている短編を3つ立て続けに読んだ。うーん、面白い、見事だ。そのままハナシを現代に持ってきても十分成立するんじゃないかと思わせる。といってもドロドロしたアクの強さみたいなことではない。むしろ洒脱といっても良いかも。なにかエッセンシャルな部分をその外側から暗示しているような書き方で、ボクはとても気に入った。もったいないので残りを一気に読まないで少しずつ読もうっと。