*** テキトー絵日記 ***

2016/03/02(水)

本日の読書は「東京漂流」

昭和58年発行 by G1X Mk2

例の日本写真史を読んでいて、そこに書かれている内容に出てくる作品名や人名にいちいち共感しながらあの頃を思い出したりしているのだけど、この藤原新也という人の記述で話が「東京漂流」になった時、ああそういえばこの東京漂流はまだ読んだことがなかったなと気付くと急にこれを読みたくなりネットで古本(程度:良)というのを見つけたのでこれを注文した。

藤原新也という人の文章や写真は好きで、当時連載のコラムなどは楽しみに読んでいた。インドやシルクロードなどへの紀行が下敷きなのか、普段の日常を捉えてもどこか外部の目に依る紀行文のようなニュアンスが新鮮だった。

その「東京漂流」が先ほど届いたので読み始めたのだけど、う〜ん、やっぱりというか懐かしいというかの切り口で、1983年という時代背景を今更のように思い返してみたりする。あの頃の雑誌や広告などは今から思うとずいぶんと突き抜けていたような気がする。サントリーウィスキーの雑誌広告に藤原新也がインドで撮った、放置された死体を野犬が貪っている写真を大きく扱い、キャッチコピーには「ヒト食えば、鐘が鳴るなり法隆寺」とある。もちろんこのキャプションだけでなく氏の「幻街道・シルクロード」からの文章も添えられているのだけど、これがサントリーオールドの広告なんだから恐れ入る。

他にもあの頃発刊された写真雑誌「FOCUS」はずいぶんとセンセーショナルな写真を掲載していたものなあ。御巣鷹山捜索中の肉片とか自殺死体とかの写真を悪びれもせずに堂々と載せていた。ある意味、あれは確かにフォトジャーナリズムと言えたと思う。それがいつの頃からか、単なる芸能関係のパパラッチに成り下がってしまったのは、バブル崩壊以後の下向き日本が何でも業界自主規制の路線を歩み始めたことと関係あるのだろうか。

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