*** テキトー絵日記 ***

2016/03/28(月)

終わりの白木蓮を眺めつつ

by G1X Mk2

「花の命は短くて」という林芙美子の名句があるが、庭のモクレンをみていると本当にその通りだなあと思う。咲きかけの頃が一番美しく清らかで気品に満ちているのだが、満開になった辺りからはもうイケマセン。清らかだった花びらは縁から次第に茶色に変色し、やがて生気の無くなった茶色の大きな花弁がボトボトと落ちてくる様はみっともないったらありゃしない。これは人の人生を写しているのでしょうか。

その点、桜は満開になったらそのまま散ってしまうので「いとあはれ」なる気持ちが生まれ万人に愛されるのではないか、モクレンを見ているとそう思う。するとやっぱり長寿のおかげで老人ばかりになった社会は美しさからは遠いものなんだろうなあ。

ところで冒頭の林芙美子の名句だが、その続きの「苦しきことのみ多かりき」は林芙美子の体験を通した言葉としては理解できるのだけど、本人の体験から離れた、もっと汎用性のある言葉としてはちょっと賛成出来ない。そりゃ確かに「苦しきことのみ多かりき」という人もいるだろうが、中には「楽ばかりで人生楽しくて仕方ない」という人もいるだろうし、多くは「楽あれば苦あり」てなのが実感なのじゃないだろうか。

まあいずれにせよ、悲観主義に陥っては本来の楽しいことも楽しくなくなる。物事は受け止め方で良し悪しの度合いも変わってくる。少なくともそう信じて生きていきたいものだ。

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