沈香 by G1X Mk2
普段は家のあちこちを開けて外気が通り抜けるようにしている。なにしろ家を建てる時のテーマが「隙間風が通り抜ける家」だったほどだ。ただ今日みたいに雨模様で湿度が高い日はかえって外気が入ると家の中が湿気だらけになりそうなので小まめに閉めている。
するとなんだか湿気の臭いというのか、閉めきった湿度の高い空間ならではの臭いがする。いつもはそんなに感じないのになあと、部屋に置いてあった消臭剤をみたらとっくにカラッポになっていた。ああやっぱり消臭の役目を果たしていたんだなと思いつつ、外はまだ降ってるようなので引き続き窓は開けずに、消臭剤の代わりに沈香という線香を焚くことにした。
以前あったのは高野山で入手したもので白檀のとてもよい匂いがしたのだけど、使いきってしまったので後からこの沈香を買ったのだけど、うむむ、ボクは白檀のほうが好きだな。京都の知恩院の本堂で嗅いだ匂いとでもいいましょうか。
あの時は偶然にも沢山のお坊さんが本堂に会して声明をあげていて、あれは良かったな。ポルトガルのトマールで聴いたカウンターテナーのミサも記憶に残っている。それからエストニアのタリンにあるロシア正教会での日曜日のミサも印象に深い。司祭の力強いバリトンに男女混声のコーラスが続くのだけど、あれも引き込まれそうな魅力に満ちていた。
考えてみれば世界中の宗教施設で流れる音楽的なものは、そこに訪れた人を引き込む要素に満ちているのだろうな。イスラムのアザーンなんかも音楽的だものな。