*** テキトー絵日記 ***

2017/02/11(土・建国記念の日)

考察「ミ・アモーレ」

by G1X Mk2

パソコン通信時代にネット上で知り合って以来の友人というか知人は何人か今も交流が有るが、アレンジャーでトランペッターの吉田憲司氏もその一人。彼とはネット上だけではなくて、ボクが上京した際に新大久保のライブハウスで一緒に演奏したことも有る。その彼がかつて松岡直也氏のバンドに在籍したこともあって、このビデオの演奏時にはトランペッターとして参加していたことを懐かしくFBにUPされていた。

ご存知、松岡直也氏作曲の「ミ・アモーレ」だ。ボクもふんふんと懐かしく聴いていたのだけど、この音楽のリズムスタイルは明らかに中米なのに、歌詞に出てくるのはリオだのサンバだのとブラジルを指していて、その辺りに強い違和感を感じた。そこで思ったのは、だいたいこの「ミ・アモーレ」って何語なの?

このタイトルが意味するのは「私の恋」だろうか。だとすると中米のスペイン語では「Mi Amor」となってこれは発音すれば「ミ・アモール」だし、サンバが主役だと言うならポルトガル語なので「Meu Amor」(メウ・アモール)になる。中南米ではないけれどこの言葉に近いのはイタリア語だろうけど、その場合も「Mio Amore」(ミオ・アモーレ)となってしまう。結局、「ミ・アモーレ」という言葉がワカラナイ。

でそのままこれをネット検索してみたら、ははぁ、やっぱりボクと同じ疑問を持った人はいる訳で同じ質問をしていた。でその解答は
「スペイン語(ミ・アモール)とイタリア語(ミオ・アモーレ)がごっちゃになったものかと思います。」
だそうだ。結構いい加減なものなんだねえ。それにしてもラテン音楽の大家とも言われた松岡直也氏がこんないい加減なシゴトをするとは思えないので、これはこの曲の作詞を担当した康珍化(かんちんふぁ)氏の責任といえるだろう。氏はこの曲以外にも「悲しい色やね」「タッチ」「桃色吐息」、など多数のヒット曲を書かれているということだが、どうやらラテン世界にはあまり通じていなかったようだ。

これがヒットしたのは1985年、この頃ならば南米と中米の音楽的な違いと言ったものもまだそれほどきちんと認識されていなかったのだと思う。一般市民の認識ではラテンというとブラジルもキューバもメキシコもそしてハワイまでもが一緒くただった(実際に経験あり)。前にも書いたが、これよりさらに20年近く前、セルジオメンデス&ブラジル66が初来日して実際に彼らのステージを見るまで東京キューバン・ボーイズのメンバーはクィーカの使い方を知らなかったというハナシもあるくらいだしね。

それにしてもこの雰囲気だけで付けたタイトルはイケマセンねえ。と思ったらこの”Mi Amore”、どうやら、中米のスペイン語圏で、もとはイタリア語なのを承知の上で、”ワタシの恋人”といったようなニュアンスでわざと使うこともあるらしいということが分かった。これは例えば日本で英語の使われ方がテキトーだったりするのと同じだ。なんだ、じゃあ康珍化氏は却って事情通だったってことなのか。ん〜?ホントはどうなの?

今月のINDEXへ戻る  ホームへ  つづく