*** テキトー絵日記 ***

2017/07/03(月)

ギリシャ旅行五日目-ミケーネ遺跡と登山鉄道

ここもやはり丘の中腹に広がっているミケーネ遺跡 by Q7

昨日まではギリシャの北中部だったのだけど、今日は西のペロポネソス半島に向かった。この半島はアテネからだとコリントス運河を渡って入るのだけど、この運河がまさに大地にナイフで切れ目を入れたような景観で、橋から水面まで80mの絶壁となっていて、幅23m、深さ8mの運河は6kmほど続いている。


よくもまあこんなに掘れたものだと思うコリントス運河

この運河の袂のドライブインに立ち寄り、土産物を買ったりアイスクリームを舐めたりしながら再びバスに乗り込んで、ホメロスが「黄金のミケーネ」と叙事詩にうたったミケーネ文明の遺跡に到着した。昨日までの三日間は連日が気温40度以上あったのだけど、今日は32度くらいしかない。すると不思議なもので「今日は涼しいですねえ」という挨拶が自然に口から出てくる。32度だって充分暑いはずだが、45度から比べると一気に10度以上下がったことになるのでつい「涼しい」なんて言ってしまう。

ちなみに日本と違ってカラカラに乾いているので30度台ならば木陰に入れば本当に涼しく感じる。雨は長らく降ってないそうで、背丈の低い草などはドライフラワー状態になっている。しかもこの乾いた下草が山火事の原因なのだそうだ。出火の原因は人間による火の不始末かと思ったら、ユーカリなどの油分を含んだ葉が強い風でこすられて火が出て、それが乾いた下草で一気に広がるのだそう。今回のバス移動の最中にも山火事を見た。それをヘリが大きなバケツで消そうとしているのだけど、この水の汲み方がダイナミックだった。つまりヘリからぶら下げた巨大バケツを海面すれすれに飛んでバケツに海水を汲み入れるのだった。当たり前と言えば当たり前なのだけど、なんかこんなローテクでいいのかと思ったりもした。

さて到着したミケーネ遺跡はやはり丘の中腹に広がっているのでゆっくり登りながらガイドの説明を聞く。どこかで聞いたことのあるアガメムノンとはここの王様の名前だったのだな。しかし紀元前1700年にこのような重力分散を考えた石組みをしていることに感心する。

去年訪れたメキシコのマヤ遺跡でも重力分散を考えた石組み尖塔アーチがあったのだけど、あちらは石の数で分散させたのに対し、こちらは巨石の組み方で重力を分散させているのだった。このへんのことはポルトガルの教会群を訪れた時に事前勉強した石組みの教会屋根建築の知識から派生した興味があってこそのことだ。確かに石で天井部を造ろうとすれば物理の知識が要る。

さてこのミケーネ遺跡を見学したあとはレストランでギリシャ名物のゲミスタ(トマトやピーマンをくり抜いて米や野菜を詰めたもの)を頂いてから午後はオドントドス登山電車の乗車体験となった。


左からサラダ、ソーセージのトマトソース煮、ゲミスタ


750mmの狭軌で勾配の強いところはアプト式のラックレールで登る

確かにこの登山鉄道を紹介している写真には断崖絶壁に張り付いたり、あるいは岩肌をくり抜いた激坂の線路をミニ鉄道がゆっくり走るのだけど、実際に乗っているとそこが絶壁かどうか判らないままに過ぎていったりする。窓は開けられないようになっているので自然と目に入るのは遠くの景色で、目の前に出現する景観はアッという間に後ろに過ぎ去っていく。


左:ラックレール、右:空撮写真(紹介ページから借用)

20kmほどの距離を1時間少々かけて登り、到着した終点のカラブリタにはバスが先回りして待っていた。ここから最初に乗ったディアコフトまで今度は道路で降りていくのだけど、今は道も良くなったそうで、たしかにこれは山岳観光道路のようでもあった。

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