黒部ダム with KP
朝起きたら昨日の雨がまだ降り続いていて、これでは先が思いやられるなと覚悟して宇奈月から本日の起点である立山に向かった。アルペンルートの最初は立山ケーブルカー、最大斜度が29度もあるので斜めのエレベーターみたいな感じだ。これで標高977mの美女平に登り、ここから高原バスに乗り換えるのだけど、このとき雨は上がったものの霧で何も見えない。運転を躊躇するくらいの濃い霧で20m先も見えないほど。
しかし一般車の乗り入れがないからかバスは予定通りに発車し、ここから標高2450mの室堂まで1時間掛けて山を登っていく。するとだんだんと霧が晴れてきて、あるいは山裾に漂っていた雲の間を抜けたというか、気がつけばバスは雲海の上にいた。そこに広がる見事な絶景にバスの乗客から何度も声が上がる。
次第に姿を表す立山連峰
この室堂で1時間ほどの散策。ただしこのときの気温は4度しかなく、防寒にダウンは着てきたが顔や指先が冷たく1時間も外にいれば景色の堪能は十分だった。ここから立山雄岳の直下のトンネルをトロリーバスで抜けて山の反対側の大観峰に出た。しかしこのとき、またも霧が上がってきてなにも見えない。ところが15分ほど後、立山ロープウェイに乗車時間になったらウソのように霧が晴れていく。なるほど山の天気はコロコロと変わるものだなと実感した。
霧の中から遠くに黒部湖が見え始めた
振り返るとロープウェイの駅辺りまで霧が切れたことが分かる
フィッシュアイで撮影
このロープウェイは支柱のない国内最長のワンスパンだそうで、ということは風があったらよく揺れるのだろうなと想像した。眼下に広がる見事な紅葉の山肌を楽しみつつ標高1828mの黒部平に到着。ここのレストランで昼食後、今度は黒部ケーブルカーで黒部ダムまで下がるが、このケーブルカーは全部がトンネル内なので景色はない。
500mほどのダム堰堤を反対側の赤沢岳方面に渡る。
黒部ダムの観光放水は本日が今年の最終日だからなのか、ダムには大勢の観光客が来ていた。海外からも中国語や韓国語のグループや欧米系の家族連れなども多数来ていたが、小さい子供連れだとやたらと階段の多い山岳系の観光地はタイヘンだろうなと想像した。
放水はなかなかの迫力だ。
171名もの殉職者を出したダム建設には敬意を表そう。
ダム見学の後は映画「黒部の太陽」でも扱われた長さ6.1kmの関電トンネルを電気バスで反対側の扇沢まで抜ける。途中にある最難関の破砕帯には今も水が出ている。この80m部分を掘り抜けるまで7ヶ月掛かったそうだ。先人の苦労が偲ばれる。
さてこれで観光目的のアルペンルートは終了し、あとはときどき休憩を挟みながら一路、伊勢市を目指すのだが、ここから長野県、岐阜県、愛知県を抜けてやっと三重県に入っても今度は各所で乗客を降ろしていくのでなかなか伊勢市に到着しない。やっと着いたときは7時間後だった。なかなかに立山黒部は遠いのだった。