********************百人一首 その93******************
世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも
<鎌倉右大臣>
「よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのこぶねの つなでかなしも」
<かまくらのうだいじん>
【解説】世の中はいつまでも変わらないでいて欲しいものだ。波打ち際を漕いでいく漁師が小舟の綱手を引く光景は、のどかで心惹かれることだ。 「常にもがもな」いつまでも変わらないものであって欲しい。「もがも」は願望。「綱手かなしも」綱手を引く様子は心惹かれるものだ。「かなし」は「愛し」と書き、「しみじみ愛おしい」という意味。
作者の源実朝は兄の頼家が親戚の北条氏に殺され、12歳で鎌倉幕府の三代将軍になった。自分の身もいつどうなるか分からず、漁師の送る日常の一コマを見て平穏を願ったものと思われる。しかし彼の願いは叶わず、28歳のときに甥の公家に暗殺された。
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