*** テキトー絵日記 ***

2025/11/09(日)

井上武彦「同行二人」読了

特殊潜航艇異聞 by ZV-1

新聞の書評欄でたまたま知ったこの本「同行二人」を読了した。それまでこの本のことも作者の井上武彦のことも全く知らなかったが、なにしろ生前の三島由紀夫が絶賛したというだけでボクには興味津々なのだ。

例えば昭和43年に三島が編集者宛に書いた手紙で「(前略)(この本を)読みだしたら、やめられず、読後、しばらく打ちのめされて、仕事が手につかなくなってしまいました。」という書き出しで編集者に熱烈に推薦している。更にこうある。「小生が戦時中美と考へたものの精髄が、ここにはまったく肉体的に描かれてゐます。もしかすると、小生が文学でやりたいと思ってきたことの全部が、ここで語られてしまったかもしれない、といふ痛恨の思ひです。」

昭和63年には瀬戸内寂聴がこの本の再販にあたり序文を書いている。本の内容は太平洋戦争開戦直前のハワイに向けて出向する潜水艦とそれに搭載された特殊潜航艇の乗員、坂田少尉と稲田二等兵曹、これらを傍観者としての医師の私が記述する話なのだが、表紙裏から抜粋すると「真珠湾奇襲まで単独航行1ヶ月。密室艦内に飛び交う鮮烈な男の死生観とエロチシズム。そして緊迫感ー。」というものだ。

現在、この本は絶版なので古本でしか購入出来ないが、それでも昭和63年当時の価格は1200円に対して一時は古本価格が6000円を超えていた。今ではもっとリーズナブルに(2000円以下で)購入できるので、三島的な死生観や美に興味があれば強くお勧めします。ただし戦記物として期待できる内容ではありません。


******** 覚えたい語句の自分用MEMO *******

  読了
イタリア語  Finito di leggere
(フィニート ディ レッジェレ)
 スペイン語 Terminé de leer
(テルミネ デ レー)
 ポルトガル語 Terminei de ler
(テルミネ ヂ レー)
 フランス語 Lecture terminée
(レクチュア テルミネ)

Finished reading

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